日々是ぶつぶつ

思いついたことを適当に

『本の世界をめぐる冒険』を読了しました

「本」とはいったいなんなのか。
紙の束の総称というだけなのか。
ならばどうしてこんなにも人を魅了させるのだろうか。
といったことの疑問を著者なりに教えてくれる本。

本とは「人と情報をつなぐもの」という視点で、本の出現前からいま現在の本のあり方まで解説されています。

歴史ものも好きな私としては、本にまつわる歴史というのは大変興味深かったです。
しかしそれだけでなく、本が持つ役割についても面白かった。

「人と情報をつなぐもの」ということであれば、紙に文字で書かれている本という形態にとらわれる必要はない。
ひとりの人間ですら、情報の塊であるという考え。
「ヒューマンライブラリー」という取り組みがあって、LGBTQや難民など社会的マイノリティの人々から経験したことを聞く、すなわちその体験者を本として、一対一で対話して偏見をなくそうというものだそう。

語り部が情報をもたらしていた時代に遡るように、人が人に直接情報を伝聞していくのも、いまの本の形としてあるという。

 

あくまで「人と情報をつなぐもの」の視点で書かれているものなので、「いや、本というのは紙に文字が書かれて装丁されているものしか認めん」という形状の話とはちょっと違う。
本を読むことから得られる情報や知識、そして未来への可能性を考えてみようといったところでしょうか。