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【展覧会レビュー】「揃い踏み 細川の名刀たち ―永青文庫の国宝登場―」

永青文庫、行きたいな行きたいなと思っている間にタイミングを失ってしまっていたのですが、ようやく行くことができました。
なんでそんなに行きたがっていたかっていうと、刀剣乱舞の我が初期刀「歌仙兼定」の所蔵先だからです。
「歌仙兼定」自体は京博で開催された「京のかたな」で見たことがあったのですが、やはり所蔵先で見るということはとても意義があると思うのです。
刀剣乱舞審神者の間では「ご実家」と言ったります。
それくらい所蔵先は重要ということです。

今回の展覧会はタイトル通り、刀剣がメインです。
「約8年ぶりに国宝の刀、全4口勢揃い」と銘打って、刀剣と刀装具を中心に全63作品が展示されました。
国宝刀剣4口を細川護立氏個人が購入したっていうのも、なかなかにスゴい。
財力だけじゃなく、確かな審美眼が養われていたという証だと思います。

 

第1章は刀剣の部屋。
「生駒光忠」や「古今伝授の太刀」など4口を始めとした11口の刀剣が勢揃いしていました。
現在の永青文庫の稼ぎ頭「歌仙兼定」(出典:「ぶらぶら美術・博物館」#430で橋本前副館長曰く)は独立ケースに入れられてドーンとした佇まいをしていました。
いつ見ても恰幅のいいお姿です。
この貫禄、さすが。

そして初めましての「古今伝授の太刀」。
割と衝撃でした。
とてもスラッとしたスタイルで美しい。
備前刀みたいな派手な刃文ではなく、ただただ均整の取れた姿で見惚れてしまったのです。
私はそんなに刃文とか語られるほど詳しいわけではないけど、刀身の幅のど真ん中に鎬があって、それが本当にバランスが良い。
「刀の鑑賞はまず姿から」とは言いますが、説明文とか茎とか見るその前に全体を見るのって大事なんだなと思えた一口です。

その他の刀剣については華やかな刃文を持つ刀剣もあれば、「歌仙兼定」のような直刃もあり、「庖丁正宗」のようなずんぐりとした短刀も展示されていました。
偏りがないな、という印象を持ちました。

 

第2章からは刀装具がメインです。
肥後の国(現在の熊本)のお殿様の家系ですので、肥後金工の鍔がたっぷり展示されていました。
刀剣のこと勉強していったら刀装具も大好きになったので、一気に刀装具を見れるのはとても嬉しかったです。

肥後金工は質実剛健の中に雅さもある、といった印象。
鉄鍔なだけでなく透かし彫りや象嵌も施されていて、かといって華美ではない。
鍔って直径10cmもないのですが、その小さな枠の中で「桜九曜紋透鐔」のような細かな桜をいくつも彫っていたりして、技術力の高さがうかがえました。
擬人化したら渋いイケオジになりそう。

刀装具と言ったら、の後藤家の作品も当然のようにありました。
細川護立氏、渋いのも金ピカ華やかなのも収集していたんですね。
刀剣乱舞的には後藤程乗作の「頼政鵺退治図三所物」がやはり目を引くところ。
獅子王」のじっちゃん、源頼政が鵺を退治した時の様子と、帝から太刀「獅子王」を下賜されている場面が現されています。
三所物はこういう物語性のあるところが良いですね。
小さな屏風絵みたい。

 

今回の展示、これだけの作品があるのに借りてきたものは一切なし。
全て永青文庫所蔵です。
ひとつのテーマでこれだけの展覧会が開ける細川家、いやはや恐るべし。