日々是ぶつぶつ

思いついたことを適当に

『平家物語 ビギナーズ・クラシックス』を読了しました

アニメも始まるし、と思って平家物語を読んでみました。
慣れない古典はビギナーズクラシックスから入った方がとっつきやすくて好きです。

所々は知っていたけど、通して読んだことのなかった作品。
祇園精舎の鐘の声」から始まる名文は国語の授業でもお馴染みです。

平清盛の隆盛、燃え盛るような熱の中で亡くなった清盛、そして滅亡へと歩んでいった平家の人々の生き様がありありと描かれていて、憐れみさえ感じてしまいました。

琵琶法師が語り継いでいった軍記物で、史実もフィクションも混在している作品。
よく知っているエピソードもどこかの時代の琵琶法師が物語ったフィクションかもしれない。
フィクションに思えて史実かもしれない。
そんなことを考えながら読んでみました。

 

あとがきに「平家物語には慰霊の深い祈りが込められている」と書かれています。
「盛者必衰の理」とあるように、平家側の人間がどんどんと逃げていき自害していく様は、とても悲哀に満ちています。
ただそれを「平家の時代は終わった」と勝者側から書く歴史書ではなく、平家が怪物や物の怪ではなく、ひとりひとりの人間であったと、その多くの死を悼むものでした。

琵琶法師が語る物語ということもあって、静かな夜更けに読むのが良い作品ではないでしょうか。