日々是ぶつぶつ

思いついたことを適当に

【展覧会レビュー】上村松園「焔」

初めてこの絵のことを知ったのは、美術館めぐりの番組でした。
番組では東京国立近代美術館で開催されていた「あやしい絵」展を紹介。
国内にあるいかにも怪しげな作品を多く展示した展覧会でした。

そこでひときわ注目を浴びる”あやしい”だったのがこの作品。

モチーフになったのは「源氏物語」に登場する「六条御息所の生霊」。
源氏を愛したがために嫉妬に狂って生霊となり、源氏の恋人たちを悩ませる女性です。

 

「焔」の六条御息所の表情は恨めしさが湛えられて、なんともおぞましい。
美人画作家である上村松園が描く生霊は、繊細で美しいけど、あまり長くは見つめたくないと思わせます。
あまり見つめてしまったり彼女に同情してしまうと、着物に張り巡らされた蜘蛛の糸に絡め取られてしまうかもしれません。

 

トーハクに行ったこの日、この絵が展示されていたのは、普段は国宝に指定された作品がただひとつだけ展示される特別な部屋。
今は「未来の国宝」をテーマにした企画展示がされています。

創立150年を迎えたトーハクが、さらに150年経った時に国宝になっていたら、と考えた作品が展示されます。
前月は「見返り美人図」だったようです。

 

美しい。されどおぞましい。
まじまじと見つめていたくない。

そんな風に考えてしまうこの作品は、蠱惑的と言えるのでないでしょうか。
やはり国宝にするべき。

 

【展覧会レビュー】特別展「琉球」

久しぶりの特別展に行ってきました。
3回目のワクチンも打ったことだし、感染者数も減ってきたし、特別展解禁しました。

 

tsumugu.yomiuri.co.jp

 

今回は刀剣乱舞とのコラボもあり。
コラボイベントに行くのも久し振りだよ……。



琉球展」はそのものズバリ沖縄にスポットを当てた展覧会。
アジア諸外国との交易の歴史から始まり、螺鈿をふんだんに使った工芸品の数々、日本とは少し違った歴史を歩んできた独特の文化など、じっくり拝見してきました。

この展覧会、一部エリアのみ、しかも尚家関係資料としてまとめて国宝になってるものが撮影可能です。
おかげでいろいろ撮影できました。
雨が酷かったので一眼レフは家に置いてスマホでしたけども。

 

一番の目的は刀剣乱舞に実装されている「治金丸」と「北谷菜切」の、尚家宝物にもなっている刀剣でした。
「千代金丸」は後期なので今回は見れず。
琉球って工芸がとても盛んだったようなんですが、刀剣に関してはこの3振くらいしか名前が出てきません。
治金丸に至っては日本での作刀っぽいし。
刀剣は「金工」って部類なので一応は工芸品の部類ですが、琉球ではそれほど刀剣作りの必要性がなかったのかもしれません。
戦がなかったわけではないですが。



琉球の工芸品の中でも漆器、特に螺鈿で装飾されたものはキラキラして一段と目を引きます。
中国にも日本にも螺鈿の技術はあったんですが、琉球螺鈿は真珠層がひときわ美しい夜光貝を使っているせいか、諸外国でも人気があったようです。
夜光貝刀剣乱舞やってる人には万単位で集めろと言われるお馴染みの大きな貝です。
夜光貝の半円を使った「貝匙」というのも展示されているので、その大きさに慄いたら良いと思うよ、刀剣乱舞ユーザーは。
14世紀には中国と交易し、それ以降は他のアジア諸国ともやりとりしていたそうです。
けっこう儲けていたみたいですよ。下世話ですけど。

 

今回の展覧会は琉球にあったきれいなものが見れます。
血生臭さは控えめです。
けど展覧会終盤の首里城の「大龍柱」はちょっと物悲しかった。
壊されてしまったので、龍の頭だけが展示されてます。
展示されているのは1700年代に再建された柱で、1945年の沖縄戦で破壊されたもの。
私の中では、これが最たる琉球展での負の作品かなって思ってます。
この大龍柱って、火災などの原因で壊れてもその都度再建されてきたそうです。
そのくらい琉球や沖縄の人にとっては大切なものなんでしょう。
まだ記憶に新しい首里城の火災でも被災して、現在も修復に向けて活動されているそうです。

 

あらゆる文化財が未来へ遺すために尽力されているのと同じに、琉球のものも未来につなぐための活動がされています。
展覧会の最後は、そんな未来に向けたエリアです。
琉球の過去から未来の切れ端を垣間見ることができる展覧会でした。

 
 
 
 
 
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真剣乱舞祭2022は楽しい祭り

今年の真剣乱舞祭はチケット取ってません。
行きたいよ、もちろん。
けどまだ感染症のせいで見送りますよ。

 

今回の真剣乱舞祭は全ステージを配信という大盤振る舞い。
ひとまず初日、しかも一番最初の回の配信を買いました。
数々の舞台を通して築き上げて成熟した大千秋楽を見るのも良いけど、未成熟な初回を見るのもちょっと楽しい。
短期間で成長する彼らを見ることができるから。

 

まだ大千秋楽まで期間があるので、このブログでは極力ネタバレなしで。

 

タイトルの通りこれは祭りなんだけど、今までの真剣乱舞祭は祭りなりにテーマがあり、同じアリーナクラスでの公演だった「歌合乱舞狂乱」に至っては、古事記とか万葉集とか、その他諸々入り混じった、ちょっと小難しい内容でした。

今回はこれまでよりももっとフラットに、ただ楽しむための祭りだと思います。
多分、それはここ数年に渡る感染症との日々でみんなメンタル疲れてるから、刀剣男士が歌って踊る姿で癒されてほしいっていうことなんだと思います。
ちょっと考察する箇所はあるんですけど、そんな難しいことは抜きにして楽しめます。
「東京心覚」を見ておくとさらに楽しめます。

 

刀剣男士って、刀剣乱舞の世界観で言えば神様なんですよね。
付喪神が神か妖怪かっていう議論はここでは置いといて)
しかも刀剣とは古来より神事にも用いられ、御身刀にもなり。
さらには感染症へのご利益まであったりなかったり。
大典太光世豊臣秀吉が前田家のお姫様の病気を治すために貸し出され返され、また貸し出されを繰り返したりもしました。
そんな神様が歌って舞い踊れば、人々は癒されるのかもしれません。
神様じゃなくても、推しがいると健康に良いといいますし。

 

疫病退散、五穀豊穣、商売繁盛などなど、日本にある祭りにはいろいろな意味がありますが、それを神様が舞い踊った真剣乱舞祭2018。
今回はそれにちょっと要素を追加した構成です。

 

真剣乱舞祭はライブステージなので2部曲がふんだんに盛り込まれ、休憩する暇はありません。
この曲もあの曲も出てきて、楽しいMCもあり。
あの刀剣男士がこの曲を!? という驚きもあり。
私が嬉しくなるポイントがいくつもあって、家で1人で喚いてました。

 

大千秋楽は6月26日。
神様を演じる彼らも人間。
怪我や感染症の心配もあって、今の時代は舞台が最初から最後まで何事もなく終わらせるのが困難な時代。
最後の日程まで、走り抜けることができますように祈ります。